太陽熱の高効率利用に向けた遷移金属窒化物ナノ構造による光熱交換

石井智
(国立研究開発法人物質・材料研究機構
国際ナノアーキテクトニクス研究拠点 主任研究員)

2014年6月15日日曜日

国際会議META

 転職して今月から物質・材料研究機構で働いています。引越しのため少し時間が経ってしまいましたが、5月の第4週にシンガポールで行われた国際会議METAについて書きたいと思います。

 今年で5回目を迎える国際会議METAは、メタマテリアル、フォトニック結晶、プラズモニクス等のナノ光学・応用光学に特化した国際会議です。これらの分野での本会議の認知度は非常に高く、世界各国でこれらの分野を牽引する研究者が毎回数多く参加しています。今回はイスラエルのSivan先生が招待講演で呼んでくださったので参加したのですが、彼は私の留学先の研究室(米国Purdue大学Shalaevグループ)で当時ポスドクをしていました。

 今回の講演では、金属でできた二種類の平面集光レンズの作製およびその光学特性について報告しました。通常のレンズはガラス等の誘電体でできていますが、我々は金属薄膜に同心円状の多数のナノ構造を加工しました。作製した2つのレンズのうち、一方はナノ導波路の伝搬モードを、もう一方はナノアンテナの散乱位相を利用することにより、入射される平面波の透過光に位相差に与え、光を集光することができるように設計しました。作製した2つのレンズは青色から赤色までの可視光を集光することができ、ブロードに動作します。それぞれの詳細は以下の論文にまとめてあります。
  •     S. Ishii, V. M. Shalaev and A. V. Kildishev, “Holey-Metal Lenses: Sieving Single Modes with Proper Phases,” Nano Lett. 13, 159-163 (2013). 
  •     X. Ni, S. Ishii, A. V. Kildishev and V. M. Shalaev, “Ultra-thin, planar, Babinet-inverted plasmonic metalenses,” Light: Science and Applications, 2, e72 (2013). 
今回は上述のSivan先生以外に、Shalaev先生や当時の先輩にも再会することができました。それぞれ世界各国で活躍しており、彼らと会って話すことで刺激を受けます。なお、今回の渡航費の一部は丸文財団から補助をいただきました。この場をお借りしてお礼申し上げます。


3 件のコメント:

  1. METAでは、2014年度の助成対象者でいらっしゃる茨城大学の鈴木先生にも偶然お会いしました。

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  2. 石井さん、鈴木さんがシンガポールで開催された会議で遭遇ですか、いいですね。ワクワクしますね。

    今回のブログ興味深く読ませていただきましたが、Sivan先生の研究内容のような技術は、将来的に通常のレンズに代わって世の中で広く使われるようになるのでしょうか?どのような場面や局面で使われることになり、どのように世の中が便利になるのか?是非、おしえてください。

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  3. > 中原様
    コメントありがとうございます。今回報告した金属平面レンズは特徴は、波長より薄く(厚さはそれぞれ380nmと30nm)平坦なことです。そのため、例えば光ファイバーの端面に作製することも可能で、プローブや光ピンセットして使えると考えています。
    しかし金属由来の損失があり、実用化にはまだ時間がかかると思います。この問題点の解決には、レンズのデザインの改良および代替材料の探索が必要です。

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