太陽熱の高効率利用に向けた遷移金属窒化物ナノ構造による光熱交換

石井智
(国立研究開発法人物質・材料研究機構
国際ナノアーキテクトニクス研究拠点 主任研究員)

2018年3月21日水曜日

YouTube、新聞記事

本助成では、高効率に太陽熱を生成して水の蒸発を促進することを目指していますが、その基本となる現象を当機構広報室の方が鮮やかなビデオに編集してくださいました。当機構の公式YouTubeサイト「まてりある's eye」で公開しています。このリンクからぜひご覧ください!

また少し前の日付ですが、同様の内容は日刊工業新聞の記事にもなり、こちらから読むことができます。(注:本現象は、所謂光触媒ではありません)

2018年2月6日火曜日

nano techで発表します。

 来週14日(水)から16日(金)まで東京ビックサイトで開催されるnano tech 2018で、本研究助成の成果を一部紹介します。発表場所はNIMSブースの一角です。nano techは、主に企業や研究機関がナノテクノロジーを使った製品や研究成果を紹介する巨大な展示会で、毎年多くの来場者が訪れます。

 窒化チタン(TiN)という材料は、金と非常に良く似た黄金色を示します。しかし、ナノ粒子等のナノ構造にすると真っ黒になり、太陽光を良く吸収します。そして各ナノ構造が光を熱に変換してナノスケールの熱源となることで、ナノ構造近傍の加熱ができます。この効果を顕著に示す実証例は、太陽光照射による水の加熱です。TiNナノ粒子が分散した水に標準的な太陽光強度の数倍の太陽光を照射すると、以下の写真に示すように室温でも目視できるほどの水蒸気が発生します。TiNナノ粒子と微細構造を持つセラミックスとの複合材料を作製することで、水蒸気発生効率が更に向上することも分かってきました。その様子は以下の動画をご覧ください。本技術は太陽光による高効率な水の蒸留に応用できると考えています。以下に我々が発表した参考文献を示します。また、ご都合のつく方は当日会場に足を運んでいただけるとうれしいです。


  

参考文献:
  1. "Titanium Nitride Nanoparticles as Plasmonic Solar Heat Transducers," Satoshi Ishii, Ramu Pasupathi Sugavaneshwar, and Tadaaki Nagao; The Journal of Physical Chemistry C 2016 120 (4), 2343-2348
  2. "All-Ceramic Microfibrous Solar Steam Generator: TiN Plasmonic Nanoparticle-Loaded Transparent Microfibers," Manpreet Kaur, Satoshi Ishii, Satish Laxman Shinde, and Tadaaki Nagao; ACS Sustainable Chemistry & Engineering 2017 5 (10), 8523-8528






留学時の友人たちとの再会

先月と今月、Purdue大学に学位留学していたときに知り合った人たちと再会しました。先月会ったのは、当時同じ研究室にいたインド人の同期。彼は昨年からインドのインド工科大学ハイデラーバード校(IIT Hyderabad)の助教授を勤めています。今月は同時期に留学していた日本人数名との再会。インド人の彼とは世間話に加えて、研究環境や研究進捗について話しました。日本人との会話は、留学当時の思い出話と最近の進捗。どちらも数年ぶりの再会だったのですが、異国の地の同じ苦労をしてきたせいか、不思議な親近感みたいなものを感じます。このような繋がりは留学中には分からなかったことですが、彼らとの交流は今後も続けていきたいと思います。

2017年10月31日火曜日

根岸先生とのランチ会

この前の土曜日、2010年にノーベル化学賞を受賞された根岸英一先生とお昼ご飯をご一緒させていただく機会に恵まれました。根岸先生は米国Purdue大学の現役の教授ですが、Purdue大学は私が学位を取得した大学で、Purdue大学同窓会の日本支部の方が食事会を企画してくださいました。過去の研究成果のことから始まり、とある研究成果にまつわる人間ドラマまで、これまでの講演会やインタビューで聞いたことがないお話を数多く伺うことができました。とかく日本人はノーベル賞受賞者を神格化しがちですが、こうした人間味溢れるお話を伺うと、ほんの少しだけ根岸先生のことを身近に感じることができました。

2017年10月30日月曜日

ネパールでの国際学会

10月第2週はネパールの首都カトマンズで開催されたICFNN-2017という国際学会に参加しました。初めてのネパール。始めはでこぼこしていて信号のない道路に衝撃を受けましたが、活気溢れる街にいるだけで街の勢いを感じることができ、新鮮な気持ちになりました。

学会会場は五つ星ホテルのホール。以前は貴族のお屋敷だったそうで、趣のある建物と広々とした庭は立派でした。学会は平行して行われる口頭発表が2つの行われるこじんまりしたものでしたが、材料分野の大御所の先生が何人もいらしていて、期待以上の学会でした。規模が小さいので参加者と話しやすく、その点もよかったです。自分の招待講演では、窒化チタンナノ構造を使った光電変換と光熱変換の最近の成果を概説しました。


2017年10月19日木曜日

American Institute of Physicsからのプレスリリース

光熱変換というキーワードで行っている本助成以外の研究のうち、当機構の内田GLらとの共同研究がAPL Photonicsという雑誌に掲載されました。内田さんを始め共同研究者と一緒に研究ができたことの賜物で、感謝しています。
そして、この雑誌の出版社であるAmerican Institute of Physics (AIP)が我々の論文をAIPからプレスリリースしてくださいました。プラズモン共鳴によって波長選択的に光を熱に変換し、それによってスピン流を発生させた報告ですが、研究の途中で想定外の現象が見つかり今後それを解明していきたいと思っています。
論文はこちら:
"Wavelength-selective spin-current generator using infrared plasmonic metamaterials", APL Photonics 2, 106103 (2017)

2017年10月10日火曜日

8月と9月の学会

今、ICFNN-2017というネパールのカトマンズで開催される国際学会に向かう途中で、香港で乗り継ぎ待ちをしています。この学会のことは終わってから報告することにして、この夏に参加した学会について記しておきたいと思います。

8月は、SPIE Optics + Photonicsというアメリカのサンディエゴで行われた学会に参加しました。この学会はアメリカで開催される光学系の学会では最大規模のもので、毎年数千人が参加します。この学会で講演するのは5年ぶり。当時はPhDを取得した直後で、招待講演だったのですが、指導教員の代わりの講演でした。今年は、私自身の招待講演として講演を行いました。本学会で招待講演に選んでもらえたことは素直にうれしく、また5年前を振り返ると少し感慨深いものがあります。発表した内容は、本助成をいただいて行っている遷移金属窒化物ナノ構造を用いた光熱変換に関することと、同じ材料を使った光電変換の研究の両方です。なお、応用物理学会の会員限定ではありますが、講演概要は今年の応用物理4月号に掲載されている内容と一緒です。

9月は、福岡で開催された秋の応用物理学会学術講演会に参加しました。春の講演を講演奨励賞に選んでいただいたおかげで、ここでも招待講演をさせていただきました。内容は窒化チタンナノ構造を使った光電変換についてで、可視光触媒への応用の可能性を示しました。会場がほぼ満席になるくらい多くの方に聞いていただけて、われわれの研究を紹介するとても良い機会になりました。

今月は先のICFNNに加えてISSS-8という学会に参加予定です。