太陽熱の高効率利用に向けた遷移金属窒化物ナノ構造による光熱交換

石井智
(国立研究開発法人物質・材料研究機構
国際ナノアーキテクトニクス研究拠点 主任研究員)

2017年6月8日木曜日

コメントが"Chemistry World"に掲載されました。

本研究助成ではナノ構造を使った高効率な光熱変換を対象としていますが、先日別のグループが行った光熱変換の研究論文について意見を求められ、それがChemistry WorldというRoyal Society of Chemistry (RSC)が出版しているウェブマガジンに掲載されました。

掲載された記事はこちら、コメントしたのは以下の論文です:

Accessible Graphene Aerogel for Efficiently Harvesting Solar Energy

Yang Fu, Gang Wang, Tao Mei, Jinhua Li, Jianying Wang, and Xianbao Wang
ACS Sustainable Chemistry & Engineering 2017 5 (6), 4665-4671
DOI: 10.1021/acssuschemeng.6b03207                                

なお昨年の12月に、MRS Bulletinから今回のようにコメントを求められて記事になったものはこちらです。



2017年6月6日火曜日

台湾

先月下旬、台湾へ。SPP8というナノ光学の分野では名の通った学会に参加するのが目的でしたが、その前に研究室の先輩のいる国立交通大学台南キャンパスへ。数年前は二人ともアメリカに留学していて、こうして研究者となって再会することは想像していませんでした。実験室などを案内してもらいましたが、設備は充実していい論文が書けることに納得。
その後、学会が行われる台北へ。ここではPhDのアドバイザーや研究室の別の先輩達に会いました。お世話になった方々に一度に会うことができて、改めて学会は貴重だと思いました。肝心の発表は、アドバイザーの先生が会場にいらしたため学生のころのように緊張しましたが、無事に終了。
とても充実した台湾での1週間でした。

2017年4月21日金曜日

NIMS一般公開2017(4月23日)

物質・材料研究機構(NIMS)の石井です。3年ぶりに国際科学技術財団の研究助成にご採択いただき、ブログを再開いたします。

直前のご案内となり恐縮ですが、今度の日曜日(23日)は当機構の一般公開です。

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日時:4月23日(日)
場所:茨城県つくば市 物質・材料研究機構 千現・並木・桜地区

超伝導、超鉄鋼、超耐熱、超強力磁石…
驚異の性能を持つ材料たち。
超精密、超高圧、超長時間でおこなう究極の実験。
その数、過去最大級の71施設!
あわせて、日本刀と最新鉄鋼技術の意外な共通点、AI(人工知能)にまつわる特別講演、毎年大人気のものづくり体験プログラム。さらには、YouTubeで人気沸騰中の科学映像で使った実物装置の特別展やど迫力の見学ツアーなど、ますますパワーアップした企画ばかりです。
入場・体験ともに無料。お土産がもらえるプログラムもあります。
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都内からですと、つくばまではつくばエクスプレスで約1時間。お時間がございましたらぜひお越しください。





2015年2月23日月曜日

1,2月

続けて、近況報告を記します。

1月は、まず24日にプラズモニクス研究会で米国Purdue大学の共同研究者と行っている光導波路の研究成果を発表してきました。また月末に行われたnano techでは、所属研究グループの主要テーマの一つであるプラズモニクスを用いた光熱変換についてポスター展示を行いました。予想外に企業の方々に関心を持っていただけたのが新鮮でした。

そして、今月はコニカミノルタ科学技術振興財団からコニカミノルタ画像科学奨励賞の優秀賞決定のご連絡をいただきました。受賞テーマは極薄平面レンズの開発で、研究の一部は香川大学の山口先生との共同研究です。授賞式は来月行われます。財団の方々には我々の研究を評価していただいたことに感謝しております。ありがとうございました

なぜ光学でナノ構造?

またご無沙汰してしまいました。今年度が終わる前にいくつか研究に関するコラムを書いていきたいと思います。

私の専門はナノ光学という分野で、平たく表現すると光を数十ナノメールの構造に当て、そこで起こる現象を研究しています。ナノ構造をデザインすることによって光をナノスケールの空間に閉じ込め、その結果光の散乱を数百倍に増強したり、回折限界を超えるレンズに応用したり、その他数多くの応用が考えられています。また、平行してナノ光学の基礎的な理論の構築、ナノ構造の計算手法や作製手法の開発も進んでいます。

そこで、初回はそもそもなぜ光学でナノスケールを扱うのかについて、私見を含めて説明していきたいと思います。光というと可視光から近赤外光までの電磁波を含む場合が多いですが、ここでは話を簡単にするために可視光を考えます。人によって定義に差はありますが、可視光の波長はおよそ400nmから800nmなので、代表値を500nm(0.5um)としましょう。500nmにとって、25nmの構造は1/20の大きさしかなく十分に小さいと言えます。

さて、25nmの構造がガラスなどの誘電体でできていると誘電率が正のため、通常光とは強く作用せず、光は誘電体ナノ構造をほとんど「感じず」に伝播していきます。他方、金属でできた25nmの構造では状況が異なってきます。光がこの金属ナノ構造に当たると、金属中の自由電子が光の電場によって振動します。同時にアンテナのように光を集める働きをします。その結果、光の波長より小さな金属ナノ構造は強い共鳴を起こし、これが表面プラズモン共鳴と呼ばれるものです。この性質をうまく生かすことで、前述のような応用ができるのです。


ナノ構造を作製する方法はいくつもありますが、その一つが大塚さんのブログに登場した電子線描画装置による電子線リフォグラフィーです。我々のところでも電子線リフォグラフィーをよく使いますが、ナノ球リソグラフィーという化学的な手法も使っています。(この論文ではZnOのパターニングをしていますが、金属にも適応できます)


短めですが、今回はこの辺で。


2014年11月18日火曜日

実験と学会

前回の投稿からすっかり時間が空いてしまいました。ようやく最近助成をいただいているテーマの研究で少し進展が見えるようになってきて、それでブログのことを思い出して書いています。

次回もう少し説明しますが、ナノ構造のパターンを描くために電子線描画装置を使っています。これは走査型電子顕微鏡(SEM)と基本的には同じつくりをしていて、ナノメートルオーダーに絞った電子線でパターンを描いて(正確にはレジストを感光)いきます。NICTからNIMSに転職してから5ヶ月以上たつのですが、それによって使う装置が変わり、条件がすっかり変わってしまいました。転職前にある程度NICTの装置で条件が出てきたのですが、それがまたやり直し。幸いNIMSのファウンドリスタッフが協力的で、最近ようやく狙った構造に近いものができるようになってきました。あともう一息、だと良いのですが。

さて、9月から今月まで毎月学会に出ていて、今月は月末にもう一つ(FON'14)があります。この最後の学会を含めて、国内で5回、国外で3回発表したことになるのですが、国外の学会は3つとも招待講演でした。現在の専門であるナノ光学を始めたのが米国留学中なので、ある程度仕方のないことなのかも知れませんが、今月で帰国してちょうど2年、国内でも注目されるような成果を出していきたいと思います。

2014年8月19日火曜日

7月の学会

先月INCTONという国際学会に参加する前、帰国したら学会のことをすぐここに書こうと思っていたのですが、気がついたら1か月も時間が経ってしまいました。。。着いてから発表用スライドを直すのはいつものことなのですが、それ以外に論文の校正、年末に開かれる別の国際会議のアブスト準備、協力研究員の手続き、等々。時差ぼけが幸いして午前4時半くらいに起きて、朝ご飯を食べる前からパソコンに向かう生活が4日続きました。帰国してすぐに投稿すればよかったと思うは後の祭り。
 さて、ICTONはInternational Conference on Transparent Optical Networksの略で、元々光通信関連の学会としてスタートしたそうなのですが、ここ数年は私も発表したナノ光学(SWP)のセッションが大きくなっていて、16回目の今年も100以上の講演がありました。今年の開催地はオーストリアのグラーツ。同国第2なのですが、路面電車が走り古い街並みや建造物が多数残っていて、落ち着いた感じでした。街を回る時間がほとんどなかったのが残念。
 講演では、金属構造を使った光導波路伝搬光の検出器について発表しました。この検出器には半導体は使っておらず、金属と誘電体の薄膜からなる構造です。そのため、特にポリマーや光ファイバーなどの絶縁体でできた光導波路に有用だと考えています。動作原理は採択していただいた課題と関連しているので、光検出の説明は次回以降に行います。
 以下の写真は講演会場の入り口で撮影したものです。今回も有難いことに学会主催者に呼んでいただいたので招待講演でした。





リクエストにお応えして、写真を追加します。